すすは涙がとめどなく溢れ出した。頭の中ではまだ純の死を否定しているのに、心は寂しいと泣いている。すずのバッグの中では、朝に直人と選んで買った純へのプレゼントが出番を静かに待っている。でも、二人の大切な親友の純は、もうこの世界にはいない。
「直ちゃん、でもね、純がある日こんな事を言ったの。
母さん、直人は、何も言わなくても僕に会いにきてくれるからって。
私が何でそう思うのって聞いたら、いつになるかは分からないけど直人はここにいる僕を捜しに来てくれるって、そう自慢げに答えてた。
いつになるかは分かんない、直人がおじさんになった頃かもしれないけど、でも、ここに会いに来てくれる。
だけど、その時、もう僕はここにいないと思うんだ。
母さん、その時でいいからね。
僕が死んでしまった事を直人に教えるのは…
直人はちゃんと考えてくれる。だって、直人は僕の親友だから……って」
和美は大きな目に涙をいっぱい溜めているけれど、それでも必死に笑顔を作ってくれた。
「直ちゃん、すずちゃん、純に会いにきてくれて本当にありがとう……
純の事を忘れないでいてくれて……」