せんだんの木の下に、それぞれのグループで掘り起こした陶器の壺を並べて置いた。

「この壺の中には、二十歳になった自分へあてた手紙とその頃に大切にしていた何かを入れてると思う。
 覚えているか?
 手紙は今読んでもいいし、家でゆっくり読んでもいい。
 とにかく十二歳の時の自分が何を考えて未来の自分に何を託してるのか、今の自分がその期待に応えられているのか、自分の中でいっぱい考えろ。楽しみだな」

 そこにいる皆は、先生の合図で一斉に蓋を開け中の手紙を取り出した。
 まずは光太郎が、その次に真子が、そして恐る恐るすずが自分の分の手紙を取り出した。そして、最後に直人が二人分の手紙を手に取った。
 直人の手紙には大きく富樫直人へと書いてある。純の手紙は宛名の欄は空白だった。でも、裏の隅に小さく大野純と書いてある。
 直人はすぐに自分の手紙を開けてみた。見覚えのある幼い文字は少ない文章を綴っていた。