すずが取り出した純からのハガキには、鳥の巣の写真が載っていた。

「これがどうしたの?」

 直人は大雑把で四角いものが丸く見えてしまうほどの適当な性格の人間だった。間違い探しとかパズルとか、そういう類のゲームが一番苦手だ。

「直人、これ見て何も分からない?」

「全然、分かんないし」

 すずは純からのハガキを、その空き家の軒先に掲げてみた。

「その時はきっとあそこの軒先の隅につばめの巣があって、純はこの場所から写真を撮った。
 ほら見て、軒先から見える電信柱もあの木だって、この写真と全部一緒だよ」

 直人はハガキを見て、すずが指さす方向を見てみた。

「本当だ……
 と、いうことは、純は俺達がここに来ることを分かってた?
 だから、あちらこちらにヒントを置いててくれたとか?」

 すずはまだ軒先を見つめている。

「そんなわけないじゃん。
 ただの偶然だよ…
 楽しい旅の思い出になるように、神様からの偶然の贈り物だよ」