直人はスマホで地図を見ながら歩いていた。すると、すずが何かを見つけて急に走り出した。
「すず~~」
直人は、すずがここまで弱音をはかず歩いてくれた事に感動していた。直人の知っているすずは、運動音痴で飛んだり走ったりすることを極力避ける女の子だった。だから、今日はすずをおんぶすると心の中で決めていた。でも、もうその心配はなさそうだ。直人はすずの成長を喜びながら、少し複雑な気持ちになっていた。
「直人、早く来て~ ここ~見て~」
すずはシャッターが下りている店の前でピョンピョン飛び跳ねている。
直人はそんなすずを見て、可笑しくてつい笑ってしまった。小さい頃のすずは直人と純以外の人の前では大人しいくせに、二人の前だとよく喋ってよく笑った。きっとそんなすずを二人とも愛していたんだと思う。
「何があるの?」
直人がそう聞くと、すずはまたバッグからハガキを取り出した。
「ほら、ここを見て」