黄色い絨毯の先に見えた物はガードレールだった。直人とすずは、急斜面を上り終えると白いガードレールを掴みやっと道路に辿り着く。

「すず、大丈夫?」

「大丈夫じゃないよ…
 直人、ここから下を見てみて。
 これって、このアングルは、ほら、純の写真と全く同じ…」

 すずは自分の立っている位置から下を見下ろし、また違った黄色い花の美しさを堪能していた。
 すずは純の大人になった姿を想像していた。デジカメのシャッターを切り得意そうな顔をする純は、すずが知っているあの頃のままだ。純の大きな目と大きな声がすずの脳裏に浮かんできた。
 …もうすぐ、純に会える。
 直人はすずから教えたもらった場所に立ち、そこから写真を撮った。すずもその風景を何枚も写真に収め、すぐにインスタグラムに載せた。

「光太郎と真子にもこの風景を早く見せたい」

 直人は笑って頷き、そしてスマホで自分達の位置を確かめた。

「すず、純の家までもうすぐだ。急ごう」

「うん」

 二人はまだ興奮が冷めないまま、純の家の方向へ歩き出した。