どれだけ奥まで埋めたのだろう。掘っても掘っても壺のふたが見えてこない。
疲れた光太郎に代わってすずがスコップで掘り始めた。乾いた土は奥の方へ進むにつれ湿って掘りやすくなる。
「すず、いいよ。後は俺がやるから。
手が汚れるよ」
直人はすずの手を押さえてそう言った。
「大丈夫……」
すずはそう一言つぶやき、またスコップで堀り出した。沈黙の中二人で掘り進めると、やっと茶色のふたが見えてきた。
「あった」
それからは直人が素手で壺の回りを掘り起こした。直人にはもうふたに書かれた懐かしい文字が見えていた。
“大野組”
純が書いた文字だ。直人は胸が詰まってがむしゃらに壺を掘り起こした。
…俺だって純に会いたい。会いたいに決まってる。