直人とすずは手をつないで、その緑のトンネルをくぐり抜けた。今の二人はかなりテンションが上がっている。この大自然の中に、今、二人しか存在しない。手をつなぐ事で生まれる結束感と湧き上がるお互いを想う愛しさで、二人の心は満ちあふれていた。
 直人が大きな声で小学校の校歌を歌うと、すずもそれにならって一緒に歌った。直人の大きな声に驚いた鳥たちが、ガサガと飛び立つのが分かる。
 今の二人は何をしても何を言っても、楽しくて嬉しくてしょうがない。その気持ちの高ぶりの先には、純に会える喜びがあった。この道を進めば大人になった純に会える…

「あ、川が見えてきた」

 一つ一つ、目印にしていた場所に行き当たる。店の女性が言っていたように、見えてきた川の幅はかなり狭くなっていて、まるで小川のようだった。そして、そこに人が一人通れるくらいの吊り橋がかかっている。
その橋を渡る前に、直人とすずは川の方へ下りて行った。直人は、川底がはっきりと見える透明で美しい川に感動していた。
そして、靴と靴下を脱ぎ、川に足を浸してみる。

「冷て~~」