直人は外へ出ると、真っ青な空を見上げ大きく深呼吸をした。色々な思いが胸の中で渦巻いている。もう無駄な分析をするのはやめた。早く純に会いたい、その気持ちだけで十分だった。
「直人、早く出発しよう」
すずも浮足立っていた。
…純に会いたくてたまらない。
その想いが、すずを前へ前へと急がせる。
そして、直人とすずは教えてもらったとおりの大きな道を真っ直ぐに歩き出した。もう何もためらうことはない。
しばらく道を歩いて行くと、森の茂みがほんのりと明るくなってきた。澄みきった空気が何となく重くなったような気がした。
「すず、きっともうすぐ川へ続く道が出てくると思う」
直人に手を引かれ後ろの方を歩いていたすずは、小走りで直人の横に並んだ。
「本当に何もかもがきれい…
さっき、たんぽぽが咲いてた。たんぽぽってこんな濃い黄色だったっけ?って感動した。
森の茂みからこぼれてくる陽の光だって、すごくキラキラして見える。
直人にもそう見える?」
直人は口角を上げ含み笑いを浮かべた。
「もちろん、そう見えるよ。
純の言った事は、やっぱり本当だったんだ…」