「黄色い花?」
すずは驚いた表情でバッグから何かを取り出している。
「あ、あの…
黄色い花ってこの花ですか?」
すずが取り出したのは、純から送られてきた年賀状だった。そのハガキの中の一枚に、緑の生い茂る草の中に小さな黄色い花が密集している写真が載っている。
その女性は笑顔になって大きく頷いた。
「そう、この花だよ。
そっか、きっとこの写真は上の方から撮ったものだね。でも、あなた達はこの風景が下の方から見えるはず。
あらまあ、こんないいものを持ってたのかい?」
すずは嬉しくて泣きそうだった。
「はい、これは今から会いに行く友達が、年賀状として送ってくれたものなんです。
ここに、こんなヒントがあったなんて…」
直人はそのハガキを手に取り、胸が熱くなるのを感じていた。
「その子はきっと友達思いなんだね。
この写真があれば、絶対迷わない。教えた私も安心したよ…」
直人とすずは、その女性にまた深々と頭を下げた。
そして、偶然なのか必然なのか分からないこの写真に、二人は純の優しさを感じて泣きそうになっていた。