「俺達ってこんな隅っこに埋めたっけ?」
六年二組に与えられていたスペースの中でも、一番隅の方に大野組の矢印があった。
大野組……
グループ名を決める時に純の名字から名付けたものだ。それぞれの名字を組み合わせた時に大野が一番ピタッとはまった。
元々純を中心に回っていたグループだった。でも、この名前を命名してからしばらくして純の引っ越しが分かった。悲しくて寂しくて、そんな複雑な気持ちになったのをここにいる全員がまだはっきりと覚えている。
「掘ってその陶器の壺を出したら、また元どおりに土を戻しておくこと」
木下先生の声が遠くに聞こえる。直人と光太郎はスコップでその目印の円を必死に掘り始めた。
月日の流れで言えば、六年という長さは大したことはない。でも、ここにいる四人にとって六年の日々は全てを変えてしまった。
無邪気で単純だった子供達は、それぞれの夢や目標に向かって大人の階段を上り始めている。