直人は平然とそんな事を言う。
 すずはその度に胸がときめいてしまう。
 …直人に本当の好きな人がいるのなら、それは私でありますように。

「すず、どっかでお昼でもって思ってたんだけど、思ってたより時間がないんだ。
 そこのコンビニでおにぎりとか買ってベンチで食べるのでもいい?」

「うん、全然、いいよ」

 二人は駅の近くのコンビニでおにぎりやサンドイッチを買って、近くにベンチに腰かけた。
 直人はブラックの缶コーヒーを飲みながら、遠いどこかを見ているような目をしてため息つく。

「直人、大丈夫? 
 まだ何も食べてないけど…」

 コーヒーしか飲まない直人を見て、すずはそう聞いた。

「もしかしたらさ、純が駅まで迎えに来てくれてるかな、なんて、淡い期待を抱いた自分がいて…
 ちょっと、落ち込んでる」

 実はすずも少しだけそんな事を考えていた。純があの手紙を読んでくれているのなら、二人がこの駅に着く時間は大体予想がつくはずだ。

「純はそんなキャラじゃないよ…」