でも、直人はその後の純の事を思い出していた。
純は無理のし過ぎで、ゴールの後に歩けなくなった。閉会式の時も純は立つ事ができず、テントの中にある来賓席に一人で座っていた。
結果発表で赤組優勝が告げられ、六年二組は皆で肩を抱き合って喜んだ。直人は純の元へ駆けよりたかったけれど、来賓席まで行く事はできなかった。
その時の純は遠くを見ていた。運動会の結果なんてどうでもいいみたいな顔をして。
直人は閉会式が終わるまでの間、ずっと純を見ていた。
純は泣いていた…
嬉し泣きなのか悔し泣きなのか、それは純にしか分からない。
運動会の閉会式が終わるまでの間、純は下を向き地面を見つめながらずっと泣いていた。
あの日も雲一つない秋晴れの真っ青な空だった。まだ子供だった直人にとって、あの最高だったのはずの運動会はほろ苦い思い出となった。
本当は純と肩を抱き合って赤組の優勝を喜びたかった。でも、純が悔しくて辛いのなら、直人も同じだった。
そして、きっと、あの日で二人は成長した。大人になんてなりたくないのに、そうやって二人は大人になっていく。