運動会の練習に入る頃、純はサッカーで足を痛めてしまった。
純は運動会までは完治すると楽観的に考えて、小さい頃からの夢だった応援団長を引き受けた。この小学校の応援合戦は、近隣の小学校の中でも群を抜いて盛大だった。だから、活発な男子は六年生最後の運動会の応援団長になりたがった。
「直人、俺が団長になったら直人は副団長になってよ」
直人は純と違い、あまり人前に出るのは苦手だった。
「絶対、無理。
俺が緊張しいなの知ってるだろ?」
純はやんちゃで負けず嫌いで、だから、意地でも自分の意見を突き通す。
「いいからさ。もう、先生には言ってあるんだ。副団長は富樫君がやりま~すって」
「は~?
俺がいつやるって言ったよ」
直人は最悪だと思った。純は言い出したら絶対引かない。結局、直人は純に言いくるめられ、応援団の一員となった。
応援団の練習が始まって二週間が過ぎた頃、直人は担任に呼び出された。そこには純もいた。