スカイツリーはまだ朝が早かったせいで、思っていたより空いていた。
 直人は別にスカイツリーには全く興味はなかったけれど、すずのはしゃぐ顔を見ていたらそこに寄ってあげたいと心から思った。
 すずが求める物は与えてあげたい。きっとこうやって、男という生き物は愛する人に全てを捧げるのだろう。
 すずの笑顔を一人占めしたいとか、すずの近くにずっといたいとか、子供の頃から直人はすずに首ったけだった。それは六年経った今でも何も変わらない。
 直人とすずはとりあえず一番上の方まで行くことにした。途中のフロアに抹茶のスィーツの専門店を見つけた。直人はすずの行きたそうな顔を見てそこへ立ち寄ったすずは抹茶フロートを頼み、直人はただの冷たい抹茶を頼んだ。

「すず、これ飲んで上まで行ったら、そろそろ出発したい」

「うん…」

 すずは下を向いて抹茶を飲んでいる。直人はそんなすずを見てため息をついた。すずの魅力は儚げで守ってあげたいという保護本能が昂り出す。