「日光まで電車を乗り継いでだいたい三時間近くかかるけど、すずは大丈夫?」

「全然、大丈夫だよ。
 それに東京スカイツリーに行けるのも嬉しいし」

 すずは直人とデートをするみたいにワクワクしていた。

「電車の乗り換えの駅がちょうどスカイツリーなんだ。
 天気もいいし、上の方まで行ってみる?
 でも、お金が高いんだよな…」

「展望台は上らなくていい。でも、ビルの上の方には行ってみたい」

 すずは純にプレゼントを買いたかった。今まで連絡を取らないでいた事をプレゼント一つで許してもらおうなんて思ってはいないけれど、でも純の喜ぶ顔が見たかった。
 直人と二人で純へのプレゼントを選ぶという事は、あの頃の三人に戻れる一歩のような気がしていた。

「よし、じゃ、行こうか」

 すずはいつの間にか直人と手をつないでいた。直人の大きな手がすずの手を包んできつく握りしめている。すずは嬉しくて直人の手を優しく握り返した。