「それと、直人これ…」

 すずはそう言うと、バックの中から緑色のレターセットを取り出した。

「純の家の電話番号が分からないから、手紙を書いて送った方がいいかなって。
 純や純のお母さんの都合とかを考えたら、やっぱり週末にお邪魔する方がいいと思うんだ。
 次の週末に予定を立てるのなら、できるだけ早くに手紙を出さなきゃ……」

 すずはここへ来る前にデパートに寄って、可愛いレターセットを買っていた。
 せんだんの木の下に久しぶりにクラスメートが集まったことにちなんで、緑色のたくさんの葉っぱがついた大きな木をモチーフにした緑色のレターセットを選んだ。

「すずは本当に偉いな」

「なんで?」

「俺はそんなこと思いつきもしなかったよ」

 直人はレターセットを手に取り、優しい眼差しを浮かべている。

「じゃ、急にお邪魔するつもりだったの?」

 直人はバツが悪そうに肩をすくめる。

「行き当たりばったりで、結果的にはそうなってたかも」