「今だから話すけど、純はどうってことなさそうだったけど俺にとっては不気味な冒険だった。
夕飯前だったからもう外は薄暗くて風はひんやりしてるし、俺達は大きな湖沿いの森の中の道をずっと歩いてたんだ。
そしたら、純が気持ち悪い話をし始めて…」
すずは身を乗り出して直人の話を聞いた。
「そんな話、あの時は教えてくれなかったじゃん」
直人はずすの責めるような言葉を軽く笑って返し、頼んでいたメロンソーダを一気に飲み干した。
「森の中は本当に静かで、たまにクマに注意っていう看板にマジで俺はビビってて」
すずは楽しそうに聞いている。
「そしたら、純がこんな話をしてくれたんだ。
純のじいちゃんがよくする話だって言ってたけど、日光って不思議な土地で昔から神聖な場所って崇められてたらしい。
だから、人は死んで魂になったらこの場所に皆来たがるって。でも、選ばれた人しかここには来れないんだって純は言ってた」