「あ、そうだ。純から届いた年賀状を持って来た。
 でも、やっぱり私、住所しか分かんない。直人は純の家の電話番号が分かる?」

 直人は静かに首を振った。

「俺って本当に最低な男なんだ…
 中学に入って最初は年賀状も純に出したんだけど、その後はもらうばっかりで全然出してない。
 やっぱ、絶対、純、怒ってるだろうな…」

 直人は考えれば考えるだけ純に会うのが怖くなった。勝気な性格の純が、そんな直人の事を受け入れてくれるとは到底思えない。

「怒ってるかもしれないけど、別にいいじゃん。
 だって、直人と純はしょっちゅうケンカして、でも、すぐ仲直りするのが得意だったんだから。
 直人が会いにきてくれれば、純は絶対喜ぶ。私が保証する」

 すずはあの頃と同じあどけない笑顔を浮かべて、直人にそう言った。
 直人はそんなすずの笑顔に、不思議ほど心が癒される。
 …純には悪いけど、俺はこの絶好なチャンスを無駄にしない。すずに告白する。結果はどうでもいい。俺自身に決着をつけてやる。