直人は隣に座っているすずの顔を覗きこんで、でも、すぐに目をそらした。
「何? どうしたの?」
直人はすずの手を取り、包み込むように優しく握りしめた。
「すず……
俺は、もう一つ決めたことがある。
俺は、必ず、すずと結婚する。
まだ、俺達は大人になりきれてなくて、結婚なんて笑っちゃうかもしれないけど、でも、俺は、どんな事があってもすずと結婚したい」
すずは胸が破裂するかと思うくらいに、嬉しくてドキドキが止まらなかった。
「でも、直人、その前に私達、つき合わないの?」
「つき合うよ、そんなの当たり前だし」
すずは直人の腕に自分の腕を巻き付けて、直人に寄り添った。
「じゃ、もし、直人と本当に結婚できた時に、純と私の約束を教えてあげるね」
「え、純との約束? 何? 今、知りたい」
すずは何も聞こえないふりをして目を閉じた。
純がすずをここに連れてきた理由は、単純で、それでいて難しい事なのかもしれない。
でも、すずは純と約束をした。
「直人の事を守ってあげて……
それはすずにしかできない事だから……」
きっと、すずは、純からのメッセージは受け取るために直人に付いてきた。
純がすずに一番伝えたかったことを、すずはしっかりと胸に刻み込む。