「すず、家の人には連絡した?
 家に帰り着くのは夜の九時頃になるって」

 直人とすずは、帰りの列車にはちょっと高かったけれど直通の特急列車を選んだ。全席指定席で座席もゆっくりしている。

「うん、大丈夫。
 ちゃんと、連絡したから」

 列車の窓から夕暮れの景色が見える。直人は昨日の夕暮れをぼんやりと思いだしていた。

「すず、純の事なんだけど……」

「うん?」

「船橋に帰ったら、また、六年二組の皆を招集しようって思ってる」

 すずは、直人が何を考えているかすぐに分かった。

「先生も呼んで、六年二組の教室を借りて、皆で純のお別れ会をする。
 皆の前で、俺がちゃんと説明する」

「うん…」

「俺は……
 やっぱりこのまま何となくは、絶対嫌なんだ。
 純の死を皆に知らせることも俺の仕事なんだと思ってる。
 だって、皆、純の事が大好きなのに、何も知らなかったじゃ可哀想だよ。
 皆で、泣くんだったら大声で泣けばいいんだ……
 ちゃんと、区切りをつけてあげたい……
 皆にも、俺達にも、もちろん純のためにも……」