翌日、直人とすずはまた同じ店で待ち合わせをした。直人は、できれば最短で純の元へ手紙を持って行きたいと思っていた。
今のこの勢いで行動しなければ、きっと後回しになってしまう。

「すずの親は何て?
 日光に行くの賛成してくれた?
 船橋から日光まで電車で三時間近くかかって、駅から純の家までまた結構かかると思うんだ。
 もしすずがよければ、日光に一泊したいって思ってる。できれば純の家に泊めてもらえれば最高なんだけど、それはどうなるか分かんないから、駅の近くに安いホテルがあればそこを予約だけしておきたい。
 どう?」

 すずは駆け足で説明する直人をじっと見ていた。直人と一緒に純に会えるのなら、親が反対しようが関係ない。

「大丈夫。
 真子も一緒って嘘ついちゃったけど…
 でも、うちのママは、直人も純も大好きだったから行っておいでって言ってくれた」

 現実味を帯びてきたすずと二人っきりの旅行に、直人は少しだけ腰が引けていた。