佑都は何も知らなかったみたいで、驚いて和美にすり寄った。
「母さん、俺も見たい……」
和美はケーキを取り分ける手を休めずに、佑都に座るよう促した。
「あの手紙はまだ読んでない……
だって、本当なら二十歳の成人式の日に、タイムカプセルを開けるはずだったんでしょ?
じゃ、純は二十歳になった自分を想定して手紙を書いてるわけで。
だから、直ちゃん達が二十歳の成人式を迎える時に、私はその手紙を開ける。
それに、こんなに素敵なプレゼントをすぐに読んじゃうなんてもったいないじゃない?
これからの二年間は、それを楽しみに生きていくことができる……
だから、佑都、母さんの大切な物をしまう引き出しにちゃんと入れてあるから。
まだ、封を切っちゃだめよ。
手紙を見る分には、何回だって見ていいから」
佑都は慌てて和美の部屋へ走って行った。
「直ちゃん……
こうやってね、私達家族の心の中では、純は永遠に生きてるの。
それでいいのよ……
忘れるなんてできないんだから……」