すずは泣かずに純に伝えたかった。
だって、そこには困った顔ですずの話を聞く意地悪な目をした純がいる。
何もかも分かってたような顔をして、笑顔ですずを見てる。すずにはそんな純が見えた。
「純が私をこの場所に導いてくれた理由……
私はちゃんと受け止めたからね。
そして、もう一つは、私は自分の気持ちに素直になる。
誰にも遠慮はしない……
純にだって、直人にだって。
純……
この場所に私を連れて来てくれてありがとう……
純は、私にだって大切な親友だよ……
それは忘れないでね……」
すずは心が軽くなった気がした。きっと、ずっと背負っていた大きな重しはこの川の流れに乗って遠い所へ行ってしまった。
すずは小さく深呼吸をする。今度は直人にちゃんと告白をする番だ。
直人はすずのすぐ近くに立っている。男のくせに目には涙をたくさん浮かべていた。
「直人……」
すずがそう言うと、直人はすずを引き寄せ思いっきり抱きしめた。
「すず……俺は……」
すずは直人にきつく抱かれながら、クスッと笑った。
「直人……
昨日の直人の告白の返事を今してもいい?」
直人はすずの温かい首筋に顔をうずめて頷いた。
「私もずっと直人が好きだった。
そして、今も好き……
直人、愛してる……」