買い物を終えてそれぞれでレジへ並んだ。すると、やっぱりすずは純の後ろに並んでいる。
 直人は二つ隣のレジに並んで、二人の様子をずっと見ていた。先にレジを済ませた純とすずは、スーパーの外に出て何やら話をしている。すずが純の腕を掴んで何かを必死に言っているのに、純はその手を振り払いまた違う友達を見つけてそこへ走り寄った。
 直人がすずの元へ行こうとした時、すずは直人の前を走り去った。大きな目から涙がこぼれていた。すずは肩をひくひく震わせて、直人の事を見向きもせずに帰って行った。

 あの日から少しだけ三人の関係がぎくしゃくし始めた。純は相変わらず、すずを少し遠ざけている。
 直人はそんな二人を複雑な思いで見ていた。直人のすずへの気持ちはいつも遠い所に置き去りで、そんな素振りも見せたくなかった。だって、すずは純の事しか考えていない。直人がすずを想うように、すずも純の事を思っている。



 直人は、大人になったすずの事をぼんやりと見ていた。
 …俺はすずが好きで、すずは純が好き。このトライアングルは六年経っても何も変わらない。