すずは直人を優しく抱きしめた。すずよりはるかに大きな直人が、迷子になった子供みたいだ。
「直人、簡単な事だよ……
それは、とても単純な答え……
純は直人にたくさんのものを見せてくれた。
それは、直人が歩んできた今までの人生……
純は死んでしまったけれど、必ず直人の近くにいる。
直人の事をちゃんと見てる。
そして、直人に見せたように、今までだってちゃんと見てた。
だから寂しがらないでって、純は言ってるんだよ……
近くにいるからって……
ちゃんと見てるからって……
一人じゃない、俺はいつでも直人の心の中にいるよ…って……」
すずは涙がポロポロこぼれた。でも、この涙は自分の涙じゃない。
この涙はきっと純の涙だ。
純も泣いている……
直人に強くたくましくあってほしいと、純も泣いていた。
すずは涙が止まらなかった。純と直人の切ないほど強く結び付いている無垢な絆が、お互いを思いやって泣いているのが分かって苦しくてたまらない。
すずは直人の肩に顔をうずめて泣いた。
「直人、前を向いて……
純のためにも早く元気になって……」