直人は目を閉じて心の中の映像をずっと見ていた。
 …純が自分に見せてくれたもの。あの時、四つの空間を移動した。何故、あの四つの場面だったのだろう。
 直人は一つだけ分かっている事があった。それは、どの場面にも必ず自分がいる。

「すず、もし、純が見てた事を俺に見せてくれたのなら、俺とすずがここにたどり着く間も純は近くにいてくれた。
 中学校でひたすらサッカーをしている時も、純は俺を上から見守ってくれてた。
 この間のタイムカプセルの日だって、純は風になって俺達の全てを見ていてくれた」

 すずは涙を浮かべながら何度も頷いた。

「そうだよ……
 純はいつでも直人を見てる」

でも、直人はまだ分かっていない。

「直人の心はもう気づいてる…
 純が直人に伝えたかったことを」

 直人の頭の中は、純とのたくさんの思い出でひしめき合っていた。頭の中を整理しない限り、純からの答は浮かんでこない。

「すず、教えてほしい……
 純は俺に何を伝えたかったのか。
 自分で考えなくちゃいけないのは分かってる。分かってるけど、今の俺の頭は全く機能してなくて。
 でも、知りたいんだ……
 すず、俺のこと、助けて……」