すずと真子は注文したパフェを前に真剣に写真を撮っていた。光太郎もそこに加わり、三人で楽しそうに盛り上がっている。
 でも、直人は窓から見える小学校の校舎を眺めながら、純の事を思い出していた。




「純、すずに何を言ったんだよ。
 さっき、泣きながら走って帰って行ったけど」

 六年生になったばかりの春の遠足の前日、純と直人とすずは近所のスーパーで遠足のおやつを一緒に買っていた。学校に一番近いスーパーということで、六年生のほとんどがそこで買い物をする。
 純は直人やすずの事は無視をして、他の友達とふざけながら買い物をしていた。そんな純にすずはしつこく近づいて行く。純は少しだけ意地悪をして、わざとすずの前からいなくなった。すずはまた必死に純を捜す。目には涙をいっぱい溜めながら。
 直人はそんなすずを見かねて一緒に純を捜した。
 …すずは純が好きで、俺はすずが好き。純は一体誰が好きなんだ?