「直人、自分を責めることはやめなきゃ……
 純はそんな風に直人が思う事は望んでない。
 純が直人に残した言葉がきっと大事なんだよ。
 直人の事が大好きだから、純は直人を時間旅行に連れて行ってくれた。
 だから、泣かないの……」

 すずは直人の涙を自分のハンカチでそっと拭いた。

「それで?
 純は次はどこに連れて行ってくれたの?」

 すずは直人にそう聞くと、あとはゆっくり直人の返事を待った。
 純が直人に何を伝えたかったのか、直人はまだそれに気づいていない。
 すずは直人の昨夜の出来事を共有したかった。純が直人に投げかけた答を、一緒に探してあげたい。そして、その答えを探し出せば、きっと直人は楽になる。純も喜んでくれるに違いない。
 すずは直人が自分の言葉で話してくれるまで、隣に座ってずっと川の流れを見ていた。

「すず……
 次の場所は意外な所だった……」

 直人は岩場にもたれて空を見上げた。

「今だって純はあの高い木のてっぺんで、俺達を見てるのかもしれないな」