直人は体育館の屋根の上に寝転んで空を見上げた。きっとこの星空を純も見ている。そう思いながら、直人は遠くに見える星達をぼんやりと見ていた。
 すると、また、あの小さな黄色い光が直人に近づいてくる。その光は寝っ転がっている直人の額の上で止まった。
 直人は寝たままで、真下に落とされているような感覚だった。真っ暗闇を落ちながら直人の脳裏には意地悪そうに微笑む純の顔が浮かんでくる。
 純はきっと直人をからかっている。十八歳になった直人がどういう大人になったのか試してる。純はいつでも純のままだ。直人は大人になった自分が恥ずかしかった。
 直人が急降下で落ちた先は、たくさんの緑で覆われている場所だった。直人は、ここもどこか全く検討がつかない。
 直人はその葉っぱをかき分けると、自分が大きな木の枝に座っているのが分かった。そして、目の前には灰色の団地が見える。
 直人が落ちた場所は、直人と純が生まれ育った家、古臭い団地の1号棟と2号棟の間に生えている大きな木の上だった。
 この木で遊ぶ時は、直人と純の立ち位置が変わる。それは、幼い時から変わらなかった。