光太郎は三代にわたる内科医院の一人息子だった。
 小さい時から進学塾に通い詰めで、でも、たまの休みには必ずこの仲間と過ごす事を最優先していた。光太郎が医者になることは当たり前のこと。直人や他の仲間も、何も疑うことなくそう思っていた。
 でも、それはそんな簡単な事ではなかった。今、光太郎は厳しい現実にぶち当たっている。皆それぞれ、知らない場所で思い悩み苦しみ、そしてここに集まっている。

「そっか… 真子は?」

 真子も難しい顔をしている。

「私は行く時期によるかも、かな。
 まずは高校のクラスの仲間と卒業旅行が入ってて、その後は田舎のおばあちゃん家に大学合格の報告を兼ねて三泊で遊びに行く事になってて……」

 今度はすずが小さくため息をついた。

「ごめんね、だから、直人達が計画した日程で行けたら行く。
 でも、私に合わせたりしなくていいから。直人達の都合で決めて」

 直人も大きくため息をついた。
 …すずは俺と二人では行くはずがない。