直人は細いトンネルの中をクルクル回っていた。真っ暗なせいで、そこがどこなのか何なのかさっぱり分からない。
でも、右側には純がいる。直人は不思議とそう感じていた。
どれくらいの時間が経っているのかさえ、何も分からないし考えられない。何もかもが暗闇でただ3m程先にあの光が見えているだけだ。直人はただその光をすがるように見つめた。
…ここは?
意識が戻った直人は何がなんだか分からなかった。下を覗けば純の家の庭と門が見える。
…俺は純の家の屋根に座ってるのか?
夜中のはずなのに、外の景色が綺麗に見える。薄紫色の世界に五色の色だけが浮かび上がっている。
…純? お前が俺に見せてるんだろ?
純は何も言わない。そばにいるのは分かるのに、何も話してくれない。直人は右側に顔を向けた。
…純、俺に顔を見せてよ。
直人は純の見えない右側の景色を見て悲しくなった。
「俺に何かを感じてほしいんだろ?
自分の力で答を見つけろってビシビシ感じるよ。
純、お前って相変わらず意地悪な奴だな」
直人は純に届いていると信じて、独り言のように囁いた。