「佑都、今夜だけこの写真貸してくれないか?」
佑都は笑顔でその写真を直人に渡した。佑都の笑った顔が純に似ている。子供の頃は全然似てないと思ってたのに、今の佑都の笑顔は純にそっくりだった。
「佑都、純に似てきたな。笑った顔なんかそっくり」
佑都の顔がパッと明るくなった。
「最近、母さんにも言われるんだ。兄弟だもんね、そりゃ似てくるよ」
直人は佑都に笑いかけ「佑都、ありがとな」と小さな声で言った。佑都は手を振って部屋から出て行った。
直人はベッドに寝転がり、純の写っている写真をジッと見ていた。そこには直人の知っている笑顔の純がいる。でも、直人はある事に気づいてしまった。あまりの衝撃に声も出ない。
直人は飛び起きて、佑都の部屋にノックもせずに押し入った。
「佑都、これは?
純の足に何があった?」
直人はベッドに腰かけている純の左足がないことに気づいていた。パッと見た感じではパジャマのズボンで分からなかったけれど、よく見ると明らかに足がないのが分かる。
「やっぱり気づいた?
っていうか、僕は、気付いてほしかったんだ。
兄ちゃんのあの頃の姿を……」