直人は着替えることもせずそのままの恰好で、純の机に座って外を見ていた。どれだけの時間が過ぎたのかも全く分からず、純の机の上に肘をついて顔を支えながら、ずっと外を見ている。

「直人兄ちゃん?」

 ドアの向こうから佑都の声がした。

「僕の部屋は隣だから、何かあったら声をかけてね。
 それとこれ……」

 佑都はそう言うと、一枚の写真を直人に見せてくれた。

「亡くなる少し前に、家族でこの部屋で撮った写真なんだ。
 僕達家族の大切な写真…
 直人兄ちゃんに見せたくてさ、兄ちゃんの笑ってる顔…
 それと、この写真を撮った後に、兄ちゃんが僕を呼んで色々な話をしてくれた。その中の一つに、佑都は佑都の人生を生きろって言ってくれた。
 もし俺が死んでしまっても、兄ちゃんのためにとか、兄ちゃんの分までとかそんな事考えなくていいんだからなって…」

 佑都は直人の目をジッと見ている。

「直人兄ちゃんにも伝えたくて…
 余計なお世話だったらごめんね…
 もう僕は寝るから、お休み」