「すずちゃんは、私の部屋で一緒に寝ようね」
和美はテーブルの上を一緒に片づけてくれているずずに向かってそう言った。
「直ちゃんは、そこの奥の間に佑都と一緒に寝てね。トイレも近くにあるし、テレビも置いてあるから……」
直人は縁側からやっと出てきた。体は氷のように冷えていたけれど、全く寒さを感じない。
「おばちゃん、俺、純の部屋で寝ていい?
おばちゃん達がよければだけど……
純の部屋が六年前のままだって、さっき佑都から教えてもらって」
和美はエプロンで手を拭きながら、直人の前に歩み寄った。
「おばちゃん達は全然構わない……
本当にいいの? そうしてくれる?」
「うん、そうしたい。
少しでも、純の近くにいたいんだ……」
和美は涙を浮かべながら微笑んだ。
やっぱり直人は純の親友だった。怖がる子もたくさんいるのに、自分から純の部屋で寝たいと言ってくれた。和美は、本当の意味で純に会いたがっている直人が愛おしくてたまらなかった。
…純、直ちゃんと楽しい時間を過ごしてね。母さんは本当に嬉しいよ。