「そのおばさんにこの写真を見せたら、笑いながらこの場所だよって言ってくれたんです。
あなた達のお友達は友達思いだね、この写真があれば絶対迷わないって…」
すずは、胸からこみ上げてくる涙の固まりを必死に飲み込みながら淡々と話した。
「私達は、おばさんの言った通り、森の中で迷いそうになりました。
森の不気味な静けさが怖くて怖くて…
でも、私はあのおばさんに言われた事を思い出して、ずっと上を見て歩いてて、そしたら……」
すずは一回大きく息を吐く。
「そしたら、この純が写した黄色い花の絨毯が広がってた…
本当に同じ場所だったんです。
きっと、純は道路の上の方から撮ってて、私達は下の方からその花畑を眺めてた。
おばさん、この木もありました…
ここに生えてる苔も同じで、あと、こっち側に伸びてる枝も一緒だったんです」
すずは純からのハガキを和美に見せ、一生懸命、説明をした。
「純はもうここにはいないのかもしれないけど、でも、こうやって私達が困っている時に助けてくれた。
それはいつもの純のすることで、純はやっぱりいなくなったんじゃない…
だって、こうやって私と直人をこの家まで導いてくれた…
あ、あと、おばさん、この写真も……」