すずは、和美が作ってくれたご馳走を頬張りながら色々な話をした。和美や佑都の質問に答える事がほとんどで、その質問の多くは船橋や小学校の時の話だった。
 すずが直人を見ると、直人は食事を済ませ開いているサッシの外の縁側に座っていた。和美も佑都も、何度も直人を見ては小さくため息をついている。

「おばさん…
 今度は、私の方から質問していいですか?」

 すずは純の死を知ってからずっと心に引っかかっている疑問を、和美に聞きたいと思った。

「何? なんでも聞いて」

 すずはざわめき出す心臓の音を無視して、勇気を振り絞って聞いた。

「あの… その…
 純から届いた年賀状の事なんです。
 おばさんは、純は十四歳の誕生日の前に亡くなったって話してくれました。
 でも、純からの年賀状はその後も私達の元にちゃんと届いた… 
 純が撮ったはずの写真を載せた年賀状が…」

 すずは涙がこみ上げてきたが、必死にその涙を飲み込んだ。泣かないで会話をすると心に誓ったはずなのに、こんなに苦しくて難しい。でも、それでも、すずは笑顔を絶やさなかった。