「響様? あの、どうかなさいましたか?」
由乃は難しい顔で黙り込んだ響を見上げた。難問に行き当たったように、ずっと思考を巡らせているようだが、それがなにかは見当もつかない。ただ、自分の発言のあとに考え込んだので、気分を害してしまったかと心配していた。
「響様……申し訳ありません。私、余計なことを言いましたでしょうか?」
再度、由乃は響に尋ねる。すると、ハッとしたように響が言った。
「……え? い、いや。違う。そうじゃない。別のことを考えていた。由乃が謝る必要はない」
「そうですか。よかったです」
「うん。あ、せっかく一流の料理人が作った西洋料理が並んでいるのに、邪魔が入って一口も食べていないな」
「ええ、確かに」
立食形式の晩餐会は、各テーブルに彩り豊かな料理が並んでいる。西洋の料理は和食と違って、とても華やかだ。由乃は会場に入るなり興味を引かれたのだが、増長大臣や成子の登場でそれどころではなくなったのだ。
「いただこうか」
「は、はい!」
由乃は勢いよく返事をし、すぐに近くの気になる料理を皿に取った。はしたない、とは思ったが、はやる心は止められない。そんな由乃を響は微笑ましく眺めていた。
由乃は難しい顔で黙り込んだ響を見上げた。難問に行き当たったように、ずっと思考を巡らせているようだが、それがなにかは見当もつかない。ただ、自分の発言のあとに考え込んだので、気分を害してしまったかと心配していた。
「響様……申し訳ありません。私、余計なことを言いましたでしょうか?」
再度、由乃は響に尋ねる。すると、ハッとしたように響が言った。
「……え? い、いや。違う。そうじゃない。別のことを考えていた。由乃が謝る必要はない」
「そうですか。よかったです」
「うん。あ、せっかく一流の料理人が作った西洋料理が並んでいるのに、邪魔が入って一口も食べていないな」
「ええ、確かに」
立食形式の晩餐会は、各テーブルに彩り豊かな料理が並んでいる。西洋の料理は和食と違って、とても華やかだ。由乃は会場に入るなり興味を引かれたのだが、増長大臣や成子の登場でそれどころではなくなったのだ。
「いただこうか」
「は、はい!」
由乃は勢いよく返事をし、すぐに近くの気になる料理を皿に取った。はしたない、とは思ったが、はやる心は止められない。そんな由乃を響は微笑ましく眺めていた。