「なるほど。響様が由乃をここに連れてきた理由がわかりました。しかし、本人は気付いていないのでしょうか?」
「おそらくな。しかし、由乃の力がどんなもので、どんな意味を持つのかは未知数だ。目を離すことなく、見守ってやらなくては。それにしても、見付けたのが俺でよかった。悪い輩にでも目を付けられれば、大変なことに……なにかおかしいか?」
目の前で白玉が意味深に笑っている。その笑いには、響の心中を苛立たせる含みがあった。
「いえ、なにも。ただ、いつになくお優しい、と思いまして」
「優しい、だと? 俺はいつもと同じだが?」
「そうでしょうか? 響様が特定の女性に興味を抱くのは珍しいと思いましたが……まあ、深くは追及いたしません」
「全く……なんだというんだ? ああ、そうだ、なにか用があったのではないか?」
響は話を変えた。白玉の妙な含み笑いに耐えられなくなったのと、自分の中にある理解出来ない気持ちに戸惑っていたのだ。由乃のことを考えると、変な気持ちになる。大して人に興味のない響がわけもなく優しくしてやりたくなり、守ってやらねばという気になってしまうのだ。
「おっと、そうでした。これを……増長様の神使、鳳騎が持って来ました」
白玉はなにもない空間から一通の封書を取り出すと、パクっと咥え響に渡した。増長とは東を守護する鬼神で、響のいわば仲間である。鳳騎は増長の神使で、赤く燃えるような羽を持った大きな鳥だ。
「またいつものやつか」
ひとりごとのように呟くと、封書を開く。煙のように白玉が消えるのを横目で見てから、内容を確認した。
「おそらくな。しかし、由乃の力がどんなもので、どんな意味を持つのかは未知数だ。目を離すことなく、見守ってやらなくては。それにしても、見付けたのが俺でよかった。悪い輩にでも目を付けられれば、大変なことに……なにかおかしいか?」
目の前で白玉が意味深に笑っている。その笑いには、響の心中を苛立たせる含みがあった。
「いえ、なにも。ただ、いつになくお優しい、と思いまして」
「優しい、だと? 俺はいつもと同じだが?」
「そうでしょうか? 響様が特定の女性に興味を抱くのは珍しいと思いましたが……まあ、深くは追及いたしません」
「全く……なんだというんだ? ああ、そうだ、なにか用があったのではないか?」
響は話を変えた。白玉の妙な含み笑いに耐えられなくなったのと、自分の中にある理解出来ない気持ちに戸惑っていたのだ。由乃のことを考えると、変な気持ちになる。大して人に興味のない響がわけもなく優しくしてやりたくなり、守ってやらねばという気になってしまうのだ。
「おっと、そうでした。これを……増長様の神使、鳳騎が持って来ました」
白玉はなにもない空間から一通の封書を取り出すと、パクっと咥え響に渡した。増長とは東を守護する鬼神で、響のいわば仲間である。鳳騎は増長の神使で、赤く燃えるような羽を持った大きな鳥だ。
「またいつものやつか」
ひとりごとのように呟くと、封書を開く。煙のように白玉が消えるのを横目で見てから、内容を確認した。