「なんだ、蜜豆じゃないか」
「響様、話があるのじゃが、よいか?……おい、小童。貴様に用はない。席を外せ」

 すっと立ち上がり、蘇芳を威嚇する蜜豆。幼少時、猫に引っ掛かれて嫌な思い出しかない蘇芳は蜜豆が苦手だ。蜜豆もそれを感じ取ってか、蘇芳にいい印象をもっていない。ふたりは俗にいう犬猿の仲なのだ。

「では、響様、またのちほど……」
「ああ」

 蘇芳が部屋をあとにすると、意気揚々と蜜豆が応接机に移動した。

「それで、話とはなんだ?」
「響様、明後日がなんの日か覚えておいでかの?」
「明後日……明後日? さあ、なんの日だったかな?」

 思い当たることもなく首を捻ると、蜜豆は盛大にため息を吐いた。