金糸の氷割に四季草花の模様の帯は、鬼神と対面する時のために、徳佐が由乃に贈ったもの。由乃の幸せを心から願った徳佐も、満足しているに違いないと、由乃は確信していた。
 隣でヨネが目頭を押さえている。厳島もどこか感慨深げに空を仰ぎ、蜜豆と白玉も、由乃を優しく見守っている。
 辺りを見回すと、誰もかれもが、祝福してくれているように感じた。

 辛かった日々を越え、凍えた朝を耐え、悲しみの夜をやり過ごし……そして、今、誰よりも大事な人と、添い遂げる決意を新たにする。

「由乃。さあ、みんなに挨拶に行こう」
「はい」

 響の手を取り、由乃は歩き出す。
 光の道を、真っ直ぐに。
 
 
 END