そう聞いて、響は思い立つ。ヨネならば、由乃の不思議な力についてなにか知っているのではないか、と。
「由乃にはなにか……変わった力はないか? たとえば枯れた植物を甦らせるような力は」
「植物を甦らせる……?」
ヨネは首を傾げ、考え込む。それから、思い出したように言った。
「枯れた植物を甦らせたという記憶はございませんが、由乃様が育てた野菜や花はどんな環境でもよく育っておりました。その野菜を使った糠漬けも絶品で……思えば由乃様の糠床は、特別なもののように感じておりました。まるで、生きているかのような。でもどうして、そんなことをお聞きになるのですか?」
「実はな……」
響は白玉に聞いた中庭の蝋梅の話をした。由乃が水をやり、話しかけると息を吹き返した、というあの話だ。
「まあ、そんなことが……あの、関係あるかどうかわかりませんが、以前美幸様に、不思議な話を聞いたのです」
「どんな話だ?」
響は身を乗り出した。由乃に関する話なら、なんでも聞いておきたいと思ったのだ。響の様子を見て、ヨネは頷いて話し始めた。
「美幸様は、嫁いできた当初、子宝に恵まれず悩んでいた時期がありまして、たびたび近くの神社に詣でていたようです。どうか、子どもを授けて下さいますように、と天の神様に祈っていたと」
「うん。それで?」
「ある時、夢に黄金色に輝く神様が現れたのだとか。その神様は一本の蓮の花を持ち、美幸様に手渡しました。すると蓮の花は美幸様の手から消え、すうっと腹部へと入り込んだそうです」
「蓮の……花……」
「由乃にはなにか……変わった力はないか? たとえば枯れた植物を甦らせるような力は」
「植物を甦らせる……?」
ヨネは首を傾げ、考え込む。それから、思い出したように言った。
「枯れた植物を甦らせたという記憶はございませんが、由乃様が育てた野菜や花はどんな環境でもよく育っておりました。その野菜を使った糠漬けも絶品で……思えば由乃様の糠床は、特別なもののように感じておりました。まるで、生きているかのような。でもどうして、そんなことをお聞きになるのですか?」
「実はな……」
響は白玉に聞いた中庭の蝋梅の話をした。由乃が水をやり、話しかけると息を吹き返した、というあの話だ。
「まあ、そんなことが……あの、関係あるかどうかわかりませんが、以前美幸様に、不思議な話を聞いたのです」
「どんな話だ?」
響は身を乗り出した。由乃に関する話なら、なんでも聞いておきたいと思ったのだ。響の様子を見て、ヨネは頷いて話し始めた。
「美幸様は、嫁いできた当初、子宝に恵まれず悩んでいた時期がありまして、たびたび近くの神社に詣でていたようです。どうか、子どもを授けて下さいますように、と天の神様に祈っていたと」
「うん。それで?」
「ある時、夢に黄金色に輝く神様が現れたのだとか。その神様は一本の蓮の花を持ち、美幸様に手渡しました。すると蓮の花は美幸様の手から消え、すうっと腹部へと入り込んだそうです」
「蓮の……花……」