「その後、徳佐の弟の元治が事業の全てを継承し、また、蜷川本家を乗っ取り……え? 待て、これはもしや……」
「はい。由乃さんはもともと蜷川本家『直系』の娘。長男である蜷川徳佐さんの、たった一人の血の繋がった娘なのです。わたしの推測通りでよかったわ。どう考えても、由乃さんのほうが輔翼の生き方をしているもの。ヨネさん、補足をして下さる?」
「か、畏まりました。由乃様の継ぐべきものは全て、徳佐様の会社の秘書をしていた佐伯という男の策略で奪われてしまいました。本家までも乗っ取られ、その後由乃様は奴隷のように苛められてこき使われ……助けて差し上げたかったのですが、私には養うべき家族がおり、解雇されれば路頭に迷ってしまいます。ですので……どうにも出来ず……」
ヨネは膝に乗せた拳をぎゅっと握り締めた。響も怒り心頭だったが、酷い仕打ちを間近で見、助けることが出来なかったヨネはもっと悔しい思いをしただろう。それを考えると、響は彼女を責める気持ちにはなれなかった。
「やはり調査内容は正しかったようね。事故をいいことに由乃さんから全てを奪い、本家も奪った。そして、娘を鬼神様のお嫁様にって考えたようだけど……分家だから知らされていなかったのかしら? 輔翼本家とは直系、つまり長男の一族を指すのであって、いくら本家を乗っ取ったところでお嫁様にはなれないのよ」
「園山様、それは本当ですか?」
ヨネは驚いて顔を上げた。
「はい。由乃さんはもともと蜷川本家『直系』の娘。長男である蜷川徳佐さんの、たった一人の血の繋がった娘なのです。わたしの推測通りでよかったわ。どう考えても、由乃さんのほうが輔翼の生き方をしているもの。ヨネさん、補足をして下さる?」
「か、畏まりました。由乃様の継ぐべきものは全て、徳佐様の会社の秘書をしていた佐伯という男の策略で奪われてしまいました。本家までも乗っ取られ、その後由乃様は奴隷のように苛められてこき使われ……助けて差し上げたかったのですが、私には養うべき家族がおり、解雇されれば路頭に迷ってしまいます。ですので……どうにも出来ず……」
ヨネは膝に乗せた拳をぎゅっと握り締めた。響も怒り心頭だったが、酷い仕打ちを間近で見、助けることが出来なかったヨネはもっと悔しい思いをしただろう。それを考えると、響は彼女を責める気持ちにはなれなかった。
「やはり調査内容は正しかったようね。事故をいいことに由乃さんから全てを奪い、本家も奪った。そして、娘を鬼神様のお嫁様にって考えたようだけど……分家だから知らされていなかったのかしら? 輔翼本家とは直系、つまり長男の一族を指すのであって、いくら本家を乗っ取ったところでお嫁様にはなれないのよ」
「園山様、それは本当ですか?」
ヨネは驚いて顔を上げた。