鬼神様の最愛なるお嫁様~運命の天上花~

 一方その頃。
 物陰から食堂の様子を窺っていた蜜豆と白玉は、その後、ある人物の部屋に押しかけた。

「同じ……ですね」
「同じ……だな」

 食堂で起きた出来事を再現する蜜豆と白玉。ふたりの様子を、厳島は無表情で眺めていた。響の帰宅を知り、迎えに出ようとした彼は、蜜豆と白玉に取り押さえられ部屋に閉じ込められたのだ。

「ああ、もどかしい。あの様子ではなにも始まらぬぞ!」

 と、蜜豆が叫び、

「そうだな。意識し合ってはいるが、その根本の気持ちに気付かないようだ。なにか、きっかけでもあればいいのだがなあ」

 と、白玉が言う。
 部屋の主でありながら、その大部分を占領された厳島は、不機嫌さ丸出しで会話に入り込んだ。

「響様と由乃さんのことですか? おふたりの邪魔をさせないために私を部屋に閉じ込めたのですね」
「そうじゃ。ここらでお互いの『好意』を自覚してもらわんと、進展せぬじゃろ?」
「自然に任せ静かに見守る、と言っていたのはどこのどなたでしょう?」
「たわけ。静かに見守っておったら、一生このままじゃ! ようやく鬼神様に想う人が出来たというのに」