「ヨネさん、多聞家の使用人としてあなたを雇いたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします」
「えっ? あ、はい。こ、こちらこそ、お願いいたします」
「わあ! よかったわ、ヨネさん。また一緒に働けるのね」
「ええ。本当に……嬉しゅうございま……あの、由乃様も働いているのですか?」
頷きかけたヨネは、おや? という表情をした。
「え? ええ。働いているけれど……あっ、そうか。ヨネさんは本当のことを知らないのね」
「本当のこと?」
「ヨネさんの疑問はわかるわ。響様が蜷川家にいらした時、私をお嫁様にする! って連れ出した。それなのに使用人として働いているのはなぜか、ということでしょう? それはね、口実だったの。響様は不幸そうな私を放っておけなくて、お嫁様を口実にして連れ出して下さったの」
「口実……で、ございますか。なるほど、そういうわけだったのですね。でもどちらにしろ、幸せそうで安心しました」
ヨネはほっとしたような笑みを見せた。しかし、なぜか厳島と蜜豆は意味深な含み笑いである。そのおかしな含み笑いのまま、蜜豆が言った。
「なんとまあ、出会った瞬間、ふぉーる・いん・らぶ、じゃったか」
「ふぉ……ふぉ、おるいん? なんでしょうか、それ」
「いや、気にするでない」
「は、はあ……」
由乃は首を傾げた。しかし、人を煙に巻くのが好きな蜜豆だから、深く考えても無駄だ。と思い、言われた通り気にしないことにした。
「えっ? あ、はい。こ、こちらこそ、お願いいたします」
「わあ! よかったわ、ヨネさん。また一緒に働けるのね」
「ええ。本当に……嬉しゅうございま……あの、由乃様も働いているのですか?」
頷きかけたヨネは、おや? という表情をした。
「え? ええ。働いているけれど……あっ、そうか。ヨネさんは本当のことを知らないのね」
「本当のこと?」
「ヨネさんの疑問はわかるわ。響様が蜷川家にいらした時、私をお嫁様にする! って連れ出した。それなのに使用人として働いているのはなぜか、ということでしょう? それはね、口実だったの。響様は不幸そうな私を放っておけなくて、お嫁様を口実にして連れ出して下さったの」
「口実……で、ございますか。なるほど、そういうわけだったのですね。でもどちらにしろ、幸せそうで安心しました」
ヨネはほっとしたような笑みを見せた。しかし、なぜか厳島と蜜豆は意味深な含み笑いである。そのおかしな含み笑いのまま、蜜豆が言った。
「なんとまあ、出会った瞬間、ふぉーる・いん・らぶ、じゃったか」
「ふぉ……ふぉ、おるいん? なんでしょうか、それ」
「いや、気にするでない」
「は、はあ……」
由乃は首を傾げた。しかし、人を煙に巻くのが好きな蜜豆だから、深く考えても無駄だ。と思い、言われた通り気にしないことにした。