目に視えない私と目が見えない彼




 
----------

 来衣先輩、

 誰にも見えない私に気付いてくれて、ありがとう。

 みんな、私を通り抜けていく。
 人も、自転車も、車も。

 そんな私を見つけてくれてありがとう。
 私の声が聞こえた人は、怪奇現象だと怖がった。
 そんな私の声を、見つけてくれてありがとう。

 突然事故に遭い、後悔が残る私の人生だったけど、来衣先輩と出会えた、この7日間のおかげで、早川未蘭に生まれてよかった。そう思えたよ。
 どうか、来衣先輩のこれからの人生に光がありますように。
 誰よりも、希望溢れる未来でありますように。

 私の中に芽生えたこの気持ちは、
 恋でした。

 恋を教えてくれてありがとう。
 伝えられなかったこの想い、いつか、また会えたなら伝えられるかな?

 好きです、と。
 誰よりも大切なあなたに。


----------


 景色は白い世界に包まれていた。見覚えのある場所。初めて死後の世界に来た時に見た景色だった。

 ここは、死後の世界。
 どうやら来衣先輩と話の途中で、早川未蘭としての時間に終わりがきたようだ。

 来衣先輩に好きと伝えることができなかった。この消えてしまう気持ちを伝えたかったのに。誰にも伝わることなく消えてしまう。

 私はその場に力なくしゃがみ込んだ。
 もう会うことのできない来衣先輩。脳裏に棲みついて離れない。



「未蘭ちゃん、7日間の仕事お疲れさまでした」

 泣き崩れる私をそっと包み込んでくれたのは楓さんだった。
 顔を上げると、心配そうに眉を八の字に下げる柊も待っていてくれた。二人の顔を見たらなぜか、また泣きたくなった。

「あれ、柊の仕事の7日間はとっくに終わってるはずだよね?」

「まー、あれだ。気にすんな」

 俯き加減に視線を逸らす。柊は視線を合わそうとしない。


 私はルール違反をたくさんしてしまった。
 仮死状態の自分に戻ることも、勝ち組に生まれ変わることも、もうできないだろう。

 でも、自分のしてきたことに後悔は何一つしていない。覚悟もできていた。


「楓さん、あの! 来衣先輩は死亡予定者リストから消えていますか?」

「ええ、消えたわよ」

「よ、よかったあ。私のせいで死んでしまうところでした」

「それは違うわよ。最上来衣くんは、交通事故で死ぬ確率があの日、あの時間に高かった。未蘭ちゃんがいなければ違う場所で事故に遭っていたということ。つまり、未蘭ちゃんが最上来衣くんを助けたっていうこと」

「……それなら、よかった」

 力なく呟いた。
 私でも、人の役に立てた。大好きな人を助けることが出来た。そう思うと不思議と決意も固まった。頬を伝う涙を拭って顔を上げる。


「コホン、ここからは形式的になっちゃうけど、早川未蘭さん、無事に仕事を成し遂げました。勝ち組の人生を選ぶことができます」

「……え」

「誰に生まれ変わりますか? 今だと、女優と俳優の子供。政治家の子供も選べるわよ?」

「待ってください。私はたくさんのルール違反をしました。だから、死後の世界に強制連行されるんですよね?」

「確かに、こんなにルール違反をする守護霊代行はいなかったわ。でも、こんなに誰かをたくさん助ける守護霊代行もいなかった」

「……」

「こんなに良い子でたくさんの人を助けたのよ? 神様だって許してくれるでしょ。ルール違反についてはお咎めなしよ?」

「ほ、本当に……? ありがとうございます」

「もう一度聞くね。誰に生まれ変わりたい?」

「わ、私、勝ち組の人生じゃなくて、早川未蘭に戻りたいです!」

「……今なら総理大臣の孫も選べるわよ? あと、人気アイドル夫婦の子供も! 容姿端麗、勝ち組確定の人生になるわよ。このタイミングに遭遇するなんて何十年にあるかないかの幸運よ?」

「……私にとっては、早川未蘭の人生がなにより勝ち組なんです」

 今の気持ちを精一杯込めて伝えた。その言葉を肯定してくれるかのように、楓さんはゆっくり頷いた。

「そう言うと思ってたの。上層部に許可済みよ」

「えっと? つまり……?」

「早川未蘭ちゃんの人生に戻れるってこと」

「ほ、本当ですか?!」

 自然と溢れ出た涙はあたたかい。頬を伝うこの涙は嬉し涙だ。

「よかったな、未蘭」

「うん、……ありがとう」

 私の背中をポンっと叩いたのは柊だった。


「お礼は楓さんに言えよ? 何も言わないけど、上層部に頭下げて頼んでくれたんだぜ? 本当はルール違反の罰で死後の世界に強制連行されるはずだったんだから」

「柊! 言わない約束でしょ?」

 柊の言葉に被せるように楓さんは投げかけた。
 やっぱり、死後の世界に連れていかれるはずだったんだ。

「別に、悪いことじゃないんだから、隠す必要ないじゃん」

「柊もでしょ? ルール違反の罰がないのはね、柊がその罰の代わりに守護霊代行の仕事を1ヵ月延長したからなのよ」

「あー! 俺のことは内緒って言っただろ!」

 私のために二人が犠牲になったってこと?



「そ、そんな、私のために二人が犠牲になるなんて。私が悪いんだもん、私が延長します!」

 私の申し出を断るように、顔を大きく左右に振った。

「だめよ。仮死状態の未蘭ちゃんの身体の期限は7日間。延長したら、二度と早川未蘭ちゃんの身体には戻れない」

「……そ、んな」

「まあ、気にすんなよ、俺も楓さんも自ら申し出て好きでやったことだから」

「でも……」

「それに犠牲だなんて思ってないよ? 未蘭ちゃんを助けたいと思った。ただそれだけ。未蘭ちゃんだって、最上来衣くんを助けたのは、見返りを求めて助けてたわけじゃないでしょ?」

「それは、もちろん! ただ、助けたかったからです」

「私たちも同じ。ただ、未蘭ちゃんを助けたいの。未蘭ちゃんの身体に戻ったら、この記憶も忘れてしまうけど、今の未蘭ちゃんなら大丈夫。現世でもたくさんの幸せが待ってるよ」


 私の背中をポンっと押した。背中を押されて前に出た私の目の前には、見覚えのある大きな扉があった。
 初めて死後の世界に来た時に見たものだ。
 楓さんと柊との別れが目の前まできている。

 泣きたくなる気持ちを、拳をぎゅっと握ってしまいこんだ。
 笑顔でさよならしたい。そう思ったんだ。

「楓さん、柊! 本当にありがとうございました。……二人に出会えてよかったです」

 私の投げかけた言葉に返事をするように、大きく頷いて微笑んだ。
 その笑顔に背中を押され、足を進める。深呼吸をして大きな扉の中に、自分の足で踏み込んだ。

 目を開けると白い世界が広がる。
 ありがとう。出会えてよかった。
 


 瞳にぼやけて映る白い世界は、時間が経つにつれて薄れていく。
 ――これは、天井?

 私の視界に広がるものは白い天井だった。頭を左右にゆっくり動かすと、飾り付けも何もない白い壁が広がっていた。

 深く深呼吸をすると鼻に残るのは独特な匂い。
 ここは、病院?

 回らない頭でゆっくり考えた。
 なんで、病院のベッドで寝てるんだろう。
 全身痛みが強くて動かせない。

 そうだ、女の子を助けようと道路に飛び出して……。
 それから……その後の記憶がない。
 あれ、思い出したいはずなのに、なにも思い出せない。

 目が覚めた後、駆けつけた母は私を見るなり、泣き叫んだ。起き上がれない身体に抱き着かれて、痛みが走り、身体のあちこちが悲鳴を上げた。

 その後、主治医の先生から、入院の経緯を説明してもらった。女の子を守って車に轢かれた私は、7日間眠り続けて目を覚まさなかったらしい。

 7日ぶりに目を覚ましたのでお母さんは、喜びながらも泣き崩れていた。
 その後はたくさんの検査をした。リハビリも並行で行い、先生も驚く回復力を見せた。

 7日間、目を覚まさなかった私は数週間の入院生活を余儀なくされた。
 二週間後、今日の検査で異常が見つからなければ晴れて退院となる予定だ。



 ――コンコン。静まり返る病室にドアがノックされる音が響く。ドアがゆっくりと開いて「やっと、見つけた」現れた人はそう呟いた。

 

「早川未蘭さんですよね? この度はうちの子を助けていただいて本当にありがとうございました。意識が戻るまで警察の方から面会できないといわれたので……やっとお会いできて嬉しいです。なんとお礼を言っていいか……」


 頭を何度も低く下げながら、お礼を繰り返す人たちは、私が助けた女の子とそのご両親だった。

「そ、そんな、頭をあげてください!」

「……お姉さん、助けてくれて、ありがとうっございます」

 瞳が揺らしながら弱々しい声からは申し訳なさが伝わってくるようだった。

「あなたが無事でよかったよ。怪我はなかった?」

「……は、っはい。私のせいで、ごめんなさい」

 私が助けた女の子もしっかり目を見てお礼を伝えてくれた。声を少し震わせて、服の袖をぎゅっと握りながら言葉を発する女の子は、精一杯伝えてくれているのがわかる。


 その後も、何度も何度もお礼を言うご両親をなだめるのに時間がかかった。こんなに感謝されることは人生で、もうなさそうだ。そのくらい感謝をしてもらった。

 検査の結果、どこにも異常は見当たらず、無事に退院できることとなった。車に轢かれたのに、命に別状はなくて先生たちも驚いていた。

 退院した私は「あと数日は学校休みなさい」と言う心配性のお母さんの言われるがまま、学校にはまだ登校していなかった。

 退院後、数日学校を休んで来週から学校へ行く予定だ。

 気分転換にいつもと違うスーパーにお母さんと買い物に来ていた。空は思わず見入ってしまうほど綺麗な夕焼けが広がっていた。

「買い忘れちゃった! 未蘭、もう一回スーパーに戻っていい?」

「えー、仕方ないなあ」


 再びスーパーへと向かう。お母さんとしばらく歩いていると、少し先に公園が見えてきた。どくん、と心臓が跳ねた。吸い寄せられるようにその公園から目が離せない。
 

「……ねえ、あの公園で待ってていい?」

「え、でも、危なくないかしら?」

「もう、ママは心配しすぎ! なにかあったら、この防犯ベルを鳴らすから大丈夫だって」

 まだ納得しないような顔で考えているお母さん。私が事故に遭ってから、過敏に心配性になってしまった「もう高校生なのにな」自然と吐く息も深くなる。

「過干渉はうざいよ……」そう文句を言おうと口を開いたはずなのに、出てきた言葉は違うものだった。



「ママ、パパが死んでから1人で育ててくれて、ありがとう。大好きだよ」

 脈絡のない言葉は自分の意識とは関係なく出てきた言葉だった。「え?」今の状況に全く関係のない感謝の言葉が自分の口から出てきて、私が一番驚いた。意識とは関係なく、勝手に口が動いた。そう表現するのがしっくりくる。

「未蘭、急にどうしたの? ありがとう、なんて言ったことないじゃない」

「あ、うん。自分でも分からないけど……伝えたいな、伝えられるときにありがとうって言いたかったんだ」

「……未蘭、お母さんもごめんね。未蘭が一番大切だから。かけがえのない家族だから。大好きよ」

「あのね、彼氏を作ることは構わない。……だけど、まだ、ママと二人で暮らしていきたい」

 ずっと言えなかった気持ちを、ありったけの勇気と共に言葉に託した。

「うん、ごめん。急ぎ過ぎたみたい。お母さんも、未蘭と二人で暮らしたい」

 言いづらい本音を言った手前、顔を見られない。おそ?おそる俯いていた顔をあげると、笑顔を浮かべた母がいた。
 それは昔からずっと大好きな母の笑顔だ。
 嬉しくてとびつくように抱きついた。小さい子供のように、ぎゅっと抱きしめて、母のぬくもりを感じた。
 
「お母さん、買い物行ってくるから、待ってて。何かあったら防犯ベル鳴らすのよ?」

「うん、大丈夫だから。心配しないで」
 
 理由はわからないけど気になって仕方がない公園へと足が向かっていく。初めてきた公園なのに、来たことがあるような、不思議な感覚に陥る。


 なんだか、見覚えのあるような――。
 初めてのはずなのに。

 まあ、似たような公園なんてどこにでもあるもんね。


 〜♬

 公園に歌が流れている。どこかで聞いたことのあるようなラブソングだった。


「この公園は歌が流れるんかい? 珍しいね」

 耳を澄まして流れる歌に聞き入っていると、犬の散歩をしている老人夫婦に声を掛けられてた。


「この公園は17時に歌が流れるんです。流れる歌は毎月変わるんですよ」

 ――あれ。
 喋っている自分に驚いた。初めてきたはずの公園なのに、すらすらと口から説明が出てきた。
 なんで知ってるんだっけ?
 誰かから聞いたのかな。……誰だっけ。


 




 君は暗闇の中を照らす俺にとって灯りだった。
 君の光はあたたかくて、心地よくて。


 ある時、少しの違和感に気付いた。過ごす時間が増えるにつれて、違和感の正体がわかった。
 未蘭が幽霊だから俺の目に視えているとしたら……。不思議と怖いと言う感情はなかった。
 それで出会うことができたのなら、その出会いに感謝をしたい。そう思ったんだ。


「私の7日間の記憶はなくなる」

 彼女は震えた声でそう告げた。
 その言葉の意味は、俺にもわかる。

 俺と過ごした日々の記憶は忘れてしまうということ。
 楽しい思い出も、交わした会話も、芽生えたかけがえのないこの想いもすべて。


 7日間限定の彼女と約束をした。
 視えなくなっても、君をみつける、と。

 そう約束した途端、君は俺の前からいなくなった。未蘭が今どこでなにをしているのかわからない。

 もしかしたら、早川未蘭という魂はこの世にいないかもしれない。
 叶うならば、素敵な来世に生まれ変わってほしい。
 存在するのかわからない神様に願った。

 いつもと変わらない学校。騒がしい生徒の笑い声や話し声。
 いないと頭ではわかっていても、白杖の音をコツコツと響かせながら、校舎を探し回った。いくら歩いても、未蘭の光が視えることはなかった。

 行かない方がいいと、頭で分かっていても、勝手に足が向いてしまう。
 それは、仮死状態の未蘭が入院していた病院だ。

 
 廊下から病室を覗き込むも、ベッドは空だった。
 最悪のシナリオが頭に浮かぶ。

 ナースステーションに行き、看護師さんに確認する。カルテを見に行くとその場を離れた。待つ時間がやけに長く感じる。

 戻ってきた看護師は「うーん」言葉を詰まらせながら、言いにくそうに感じる。答えを聞くのが怖かった。やっぱり、未蘭は、もう……。想像する最悪の想定が頭に浮かんだ。言葉と言葉の間が、果てしなく長く感じる。


「早川さんは、病棟を移動したの。今のご時世、個人情報だから……どこの病棟かは言えないの。ごめんなさい」

 申し訳なさそうに告げると仕事に戻って行った。

 ――未蘭が生きてる。
 その事実が嬉しくて、張り詰めていた緊張が解けた俺は、その場にしゃがみこんだ。


「ははっ、こんなに嬉しいことはない」

 自然と顔も緩んでしまう。やばい、嬉しくて泣きそうだ。人前で泣くなんて出来なくて唇をぎゅっと噛んだ。

 いつ会えるだろう。

 きっと、俺との記憶は消えてしまっただろう。
 7日間の記憶が消えても、未蘭が生きている。その事実だけで十分だった。

 幸運なことに、俺の7日間の記憶は残った。
 病気になっても前向きに生きてる俺に神様からのご褒美か?そんなお花畑のようなことを考えてしまう。

 また会えたなら、なんて声をかけよう。
 顔が見えない愛しい彼女に。


 期待に心弾ませていた。病棟を教えてもらえないので、学校にくる日を待つ他ない。しかし、待てども待てども美蘭は学校には来なかった。

 何度か二年生の教室に行き、未蘭の状況を聞いてみたけど、分かる者はいなかった。

 時が過ぎるにつれて不安が募っていく。その不安を拭うように、未蘭と話した公園へと向かった。

 未蘭が消えてしまった後も、この公園によく来ていた。7日間限定の彼女に会える気がして、足が自然と公園へ向いてしまうんだ。

 公園では、ラブソングが流れ始めた。
 この歌が流れることで、視覚に障害があり時計が見えない俺にも、18時になったと聴覚で教えてくれる音楽はありがたい。



「この公園は歌が流れるんかい? 珍しいね」

 背後から、年配と思われる人の声が聞こえた。誰かに尋ねてるようだった。


「この公園は18時に歌が流れるんですよ」

 ――聞き覚えのある声がした。
 忘れるはずのない愛しい人の声だった。

 振り返ると、昼間だけかすかに残る視力で、女性のように見える。彼女が笑うと顔のパーツが光って見えた。

 
「未蘭、」

 本当は少し不安だったんだ。目の見えない俺が、本当に君を見つけられるのか。

 不安になる必要なんてなかった。
 いつだって君は、俺にとっての光だった。
 見つけられないわけがない。


 未蘭はきっと俺のことを覚えていない。
 だけど、約束したんだ。もう一度、恋をする。と
 もう一度君を好きになるし、俺を好きにさせると。


 

「……未蘭?」

「え?」


 突然話しかけられた未蘭は、驚いた声を上げた。昼間に残された微かな視力で彼女の姿を目に焼き付けた。


「え? えっと……3年の来衣先輩ですよね? なんで私の名前を……あ、私同じ学校の二年で。あっ、来衣先輩は有名人だから知ってました」

「俺も知ってる」

 待ち望んでいた愛しい未蘭に出会えて、堪らなく嬉しくて、堪らなく愛おしい。

 今すぐに抱きつきたかった。必死に我慢をして俺は平然を装い続ける。

「え、もしかして事故って入院してたこと噂になってます?」

「7日間の記憶は――?」

「なんか、7日間眠り続けてたみたいです。なので、浦島太郎状態です。ははっ」

 7日間の記憶はないみたいだ。
 分かっていたことだが、記憶が消えてしまったことに、心臓辺りがひどく痛む。

「でも――とても目覚めがよかった、です」

「え?」

「なんていうんだろう。満ち足りたような気持ちで目覚めたというか……訳わからないですね」

「7日間の君は幸せだったんだよ」

 そう伝えると、戸惑っている様子が伝わってくる。
 我慢してたはずなのに、腕が勝手に愛しい彼女の顔へと伸びていく。

 ふわっと温かい頬に触れる。未蘭に触れれることが嬉しくて涙が込み上げてくる。


「俺と、もう一度、恋しませんか?」


 もう一度ここから始める。
 俺と君の物語。

 7日間の彼女の記憶はないけれど、俺の胸には色褪せることなく、残り続けることだろう。

 もう一度、好きになるし、
 もう一度、俺を好きにさせる。


 複雑に絡み合い、たくさんの人に出会う中で最愛の人に出会えた。
 同じ世界で、同じ時間に、同じ空間で、一緒に時を過ごせることは奇跡なんだ。

 その奇跡が今目の前にある。
 こんなに幸せことはない。

 7日間の彼女の記憶はなくなってしまったけど、あの時の彼女の想いは、今も俺の心の中に生き続けている。


 偶然が重なって、7日間の君と恋をした。
 今度は必然に、君と恋をする。



 今はまだ伝えられないけれど、
 いつか伝えよう。

 好きです、と。
 大切なあなたに。



          fin

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