思わずニヤニヤしてしまう私を見て、幸次郎さんは「からかわないでくださいよ…」と恥ずかしそうに顔を伏せた。
なんか思ったより普通の人なのかも。
さっきは、かなり大人びてみえたが好きな人の話をする姿は年相応に見えた。
「…こほん。それよりも、葵さんは椿さんとはどういう関係なんですか?顔もかなり似ていますし…親戚?」
「いや、私は最近、椿さんの話し相手として城崎家に居候させてもらっている者で…」
厳密に言えば、椿さんは私の曾祖母なのだから親戚ではあるのだけれど。
そこは彼には、言えないのでなんだか変な説明になってしまった。
「へぇ。そしたら他人ってことですよね…。こんなに似ているのも珍しい」
「あはは…。私も初めて会った時は驚きました」
「確かに、椿さんに姉妹がいるって聞いたことはないですけど…」
幸次郎さんは少し半信半疑のようだが、椿さんに姉妹がいないということも知っていたみたいで納得はしてくれたようでホッとする。
「そ、そんなことより!幸次郎さんどうします?本物の椿さんとお見合いは、しばらく無理かと…」