私もそっと椿さんの隣から、部屋の中の様子を伺ってみる。

部屋の造りとしては、私や椿さんの部屋とさほど変わらない。

真ん中に敷かれた布団から、ゆっくりと身を起こした40代くらいの女性の姿を視界にとらえた瞬間、私は目を丸くした。

椿さんの骨格や顔立ちは、母親譲りなのだとひと目見ただけでわかる。ただ、彼女よりもさらに身体の線は細く、色白で…。

私には今にも消えてしまいそうなくらい儚げに見えた。

「…椿、会いたかったわ。あなたは最近体調はどう
?」

「お母様…私は大丈夫です。先日、しばらく風邪を引いて寝込んでましたけどもう治りましたから」

「そう…。それなら良かったわ。椿、そんな入口で立ってないでお部屋にいらっしゃいな」

「はい、お母様。失礼します。あと、今日はお母様に紹介したい子がいて…。私のお話相手でお父様が連れてきてくれたんです…!今日からうちに住むんですよ」

母親に促され、嬉しそうに部屋へ入っていく椿さん。

隣に立つ私の手を引いて、私について説明をしてくれる。