「葵ちゃんの部屋はここよ。私の部屋からも近いから何かあったらいつでも声かけてね」

サッと障子を開けて部屋の中を見せてくれた椿さん。

うわぁ、広い部屋…。

現代で住んでいた部屋の倍くらいはある綺麗な畳の部屋に私は目を見開いた。

「こんなに広い部屋いいんですか…?」

「うち、使われてない部屋も多いの。ここも元々は空き部屋だから自由に使ってね。昨日、葵ちゃんが来るって聞いて、泰葉さんと片付けたのよ」

「どうぞ」と椿さんに促され、私は部屋の中にゆっくりと足を踏み入れる。

「葵ちゃん、お布団はここに入ってるわ。あとは、厠は部屋を出た廊下の突き当り。お風呂はその右隣にあるから。後で確認してみてね」

「はい…!ありがとうございます」

椿さんの説明を聞きつつ、私は部屋の中に置いてあった座布団に腰をおろした。

「あ!葵ちゃん、今日ね。美味しい羊羹をもらったの。休憩がてらお部屋で食べましょう?持ってくるわね」