けれど、菊雄さんが言い淀んた理由を私は数日後に知ることとなる---。
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数十分ほど車で山道を下ると、町の入口にたどり着いた。やっぱり馬車よりも車のほうが随分早い。
昨日通った道のりもあっという間で、気づけば城崎家の門の前に到着する。
「葵ちゃん!お父様が話してたことは本当だったのね…!」
屋敷の門の前では、パァッと表情を明るい椿さんが立っていた。
どうやら、出迎えにわざわざ来てくれたらしい。
隣には、泰葉さんの姿も見える。
「椿さん…!体調は?」
車を降りた私が心配して椿さんにかけよると。
「今日はすっごく調子がいいのよ。お母様まで来るって言うんだもの!お部屋で寝てなんかいられないわ」
そう言うと、嬉しそうに彼女は微笑んだ。
「それに、葵ちゃんが私のお話相手として今日からこの家に留まってくれるって聞いて嬉しくて…!」
「…私も仲良くなった椿さんの近くにいれて嬉しいです」
そっか。私は椿さんの"お話相手"としてこの家にやって来たということになっているのね。