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「葵ちゃん…!葵ちゃん、起きて!大変やよ」
「ん…?幸枝ちゃん…?朝早くに何事??」
私は眠たい目を擦りつつ、なぜか顔面蒼白で、慌てている幸枝ちゃんに問いかけた。
「城崎の旦那様が…葵ちゃんに会いたいってうちを訪ねてきてるんよ…!」
「え…!?」
その言葉を聞いた途端、ガバっと布団から飛び起きた私。
城崎の旦那様って…椿さんのお父さん?
何でここに…?
私は小さく首をひねり、考え込んだ。
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結局。
昨日、椿さんとは他愛もない話をして、泰葉さんとの約束通り夕方には彼女の家をあとにしていた。
だから、椿さんのお父さんとも会ってないし、私のことを知っているはずがないのだけれど…。
「何でここに?椿さんのお父さんが…」
「私もようわからんのやけど…とにかく葵ちゃんに会わせてほしい言うてて…とりあえず準備できたら居間にきて」
「う、うん…。すぐ行く」
それだけ言い残し、幸枝ちゃんは私が寝ていた部屋から出て行ってしまった。
状況はよくわからないけれど、私に会いに来てるってことなら早く行かないと、幸枝ちゃん達にも迷惑をかけてしまう。